金杉武司『心の哲学入門』勁草書房を読んで
タイトルの通り、心の哲学入門書です。
本書の特徴としては、教育的配慮が大域的に行き届いていることが挙げられるかもしれません。私は次のような2点からそのように考えています。
はじめに哲学的方法論を明示したうえで各章がそのような方法論に従って展開されています。著者がただ心の哲学に入門するだけではなく哲学そのものに入門することを意図したと冒頭で述べているように、序章でまず哲学的方法論を明確にしたうえで、第1章以降はそのような方法論に則り、心物因果、志向性、意識といった心の哲学の各トピックについてアプローチしていきます。例えば、心にどのような基本的な特徴が備わっているのかをまず明らかにしたうえで、伝統的な二元論と物的一元論がどのような問題を抱えるのか、どのように問題を解決できるのかということを検討しています。
Q&Aやコラムを設けて、初学者がつまずきそうなところをフォローしていること。とりわけコラムに関しては、アプリオリとアポステリオリの違い、理論的存在者といった心の哲学に限らず現代哲学で重要なジャーゴンを丁寧に説明しています。
以上のような二点から、初めて哲学に触れる方にも強く勧めることができるので、興味のある方は読んでみてください。。。!
私にとってとりわけ面白かったのは、以下の2点です。
序章で反論を批判と異論から特徴づけた点(著者によれば野矢さんの『新版 論理トレーニング』を参考にしたらしい。)
第4章で神経生理学の観点から、命題的態度の構文論的構造を脳に対応させることが難しいことを指摘し、したがって、心脳同一説や機能主義といった物的一元論がその点において問題を抱える点
次は、クレインの『心の哲学』を読もうかな、、、考え中、、、数学もプログラミングも進めねば。。。時間が足りない。。。